石川晶の音楽性の三本柱であるジャズとロックとアフリカン・ミュージックが至上のバランスで融合した、ゾクゾクするような曲が次から次へと押し寄せる傑作である。 悠久の大地を思わせる厳かな「祈り」、澄明でいてサイケデリックな香りもする「夜明け」、静謐で美しい「愛」、躍動感と炸裂感のある「ジャンボ」・・・。 鈴木宏昌によるアレンジの妙はさすがと言うほかなく、シンプルでいながら奥行きのあるサウンドがアルバムのコンセプト/イメージを明瞭なものにしている。 石川関連の(いわゆるインストゥルメンタル・カヴァーではない)シリアス路線としては、『エレクトラム』、『バキシンバ』、『ウガンダ』と並ぶものであり、代表作のひとつに数えるべき作品である。 text by 尾川雄介(UNIVERSOUND/DEEP JAZZ REALITY)